自民、政倫審も「小出し」対応=予算審議絡め野党攻勢―国会
自民党は、派閥の裏金事件を受けた国会の政治倫理審査会(政倫審)について、出席議員の「小出し」回答を続けている。野党は幅広い「裏金議員」の出席を要求。2024年度予算案の審議日程も絡んだ与野党の攻防は激しさを増している。
「政倫審の対応はどうなっているのか。小出し、後手後手だ」。21日の衆院予算委員会で、立憲民主党の山岸一生氏は政倫審を巡る岸田政権の姿勢を糾弾した。
政倫審について、自民は20日に安倍派座長だった塩谷立元文部科学相と、二階派事務総長だった武田良太元総務相が応じると回答。野党は「話にならない」と突き返した。21日に安倍派で中枢を担った「5人衆」の松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、西村康稔前経済産業相の出席を新たに伝えたが、野党は来週中の開催確約を迫るなど攻勢を緩める気配はない。
野党側は安倍、二階両派で政治資金収支報告書に不記載のあった全衆院議員の出欠確認を求め、自民側から一層の譲歩を引き出したい考え。予算委では、立民の後藤祐一氏が安倍派の萩生田光一前政調会長や、二階派の二階俊博元幹事長らの名前を列挙し、「政倫審で話すべきだ」と訴えた。
自民が政倫審の出席議員を絞ろうとするのは、裏金事件の収束がさらに遠のくとの懸念からだ。閣僚経験者は「二階氏が出れば何を言い出すか分からない」と指摘。若手も「安倍派で(政権の対応に)不満を抱える議員を出席させれば遺恨が残る」と漏らす。
党執行部の「機能不全」も目立ち始めた。裏金事件の聞き取り調査に当たった森山裕総務会長、小渕優子選対委員長らは21日、党本部で対応を協議したが、野党の求める両派議員の出欠確認には関与せず、党国対に委ねることを確認した。
これに関し、中堅の一人は「本来なら茂木敏充幹事長を中心に調整すべきだ」と指摘。岸田文雄首相が、派閥解消などを巡り「亀裂」の生じた茂木氏を信用せず、迷走気味の対応に拍車を掛けているとの見方を示す。
24年度予算案について、与党は3月2日までの衆院通過を目指すが、野党は裏金事件への対応を問題視し、21日も採決の前提となる中央公聴会の開催に応じなかった。立民の安住淳国対委員長は記者団に「真実を確認したいから、こういう対応をしている」と強調した。
[時事通信社]
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