イスラエル、断食月も作戦継続か=根強い強硬論、イスラム圏の反発必至
【カイロ時事】イスラム組織ハマスとの交戦を続けるイスラエルのネタニヤフ政権が、3月10日ごろに始まるイスラム教のラマダン(断食月)の期間中も軍事作戦を継続するとの観測が強まっている。政権幹部の間では、人質解放なしに戦闘休止に応じられないとの意見が根強い。目下の焦点となっているパレスチナ自治区ガザの最南部ラファへの地上部隊投入が現実味を帯びている。
イスラム教徒にとって重要な期間であるラマダン中に大規模作戦を展開すれば、イスラム圏の反発拡大は避けられない。約140万人が身を寄せるラファへの地上侵攻が実行されれば民間人の犠牲拡大は必至。国際社会からは「ラファでの作戦を深く懸念する」(ドイツ政府)などと作戦中止を求める声が高まっている。
AFP通信によれば、イスラエルの戦時内閣メンバーのガンツ前国防相は18日、「ラマダンまでの人質帰還がなければ、ラファでもどこでも戦闘が続くだろう」と強硬姿勢を示した。その上で「(ハマスが)降伏して人質を解放すればガザ市民はラマダンを祝福できる」とも述べた。
イスラエル紙ハーレツは19日、ラファでの地上作戦に関し、民間人退避のため、準備に数週間かかる可能性があると軍がみていると報じた。同紙はラマダン前の作戦開始は困難と分析した。
エジプトは、戦火を避けるガザ市民が自国に流入するのを許容すれば、ガザからのパレスチナ人排除につながると懸念。ただ、イスラエルはそのような目的はないと否定している。
カタール外務省報道官は20日、記者会見で、同国などが仲介するイスラエルとハマスの戦闘休止に向けた協議について、現時点で進展していないと明らかにした。ハマスの最高指導者ハニヤ氏は、エジプトの首都カイロに到着したと報じられており、同国当局者と休戦に関し議論するとみられる。
ガザ保健当局の20日の発表によれば、ガザでの死者は累計2万9100人を超えた。国連児童基金(ユニセフ)は、ガザ北部で2歳未満の子供の6人に1人が深刻な栄養失調に陥っていると報告した。ただ、国連の世界食糧計画(WFP)は同日、安全が確保されるまで北部への物資搬送を停止すると発表した。
[時事通信社]
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