ホロコースト発言、外交問題に=ブラジル、駐イスラエル大使召還
【サンパウロ時事】ブラジルのルラ大統領がイスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの報復攻撃を、ナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)になぞらえた発言が、両国間の外交問題に発展した。イスラエルはルラ氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)だ」と批判。これに反発したブラジルは駐イスラエル大使の召還を決定した。ブラジルが議長を務める21日からの20カ国・地域(G20)外相会合を控え、混乱が広がっている。
ルラ氏は18日、訪問先のエチオピアで記者会見し、ガザ地区では「訓練された軍と、女性や子供の戦い」が繰り広げられているとして、「(これは)ジェノサイド(集団殺害)だ」と非難。その上で「ヒトラーがユダヤ人殺害を決めた時」と同じことが起きていると指摘した。
イスラエルはブラジルの駐イスラエル大使をホロコーストの追悼施設に呼び出し、ルラ氏の発言を撤回するよう要求した。これに対し、ブラジルのビエイラ外相は19日、駐イスラエル大使の召還を決め、自国に駐在するイスラエル大使を外務省に呼び抗議した。
ブラジルのメディアによると、ルラ氏は謝罪には消極的だ。外交筋の間では、同氏の発言は「失言」と認識されている一方、大使を追悼施設に呼び出すなどイスラエル側が今回の一件を「政治的道具に利用した」と受け止める向きがある。
[時事通信社]
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