ウクライナ安定へ長期支援=岸田首相「復興は未来への投資」―渡航制限を緩和・共同声明
政府は19日午前、東京都内で「日ウクライナ経済復興推進会議」を開いた。ロシアの侵攻を受けるウクライナの復旧・復興に関し、「経済の安定を確保するために(日本が)必要な長期的支援を提供する」とうたった共同声明を発表。岸田文雄首相は基調講演で「経済復興を進めることは未来への投資だ。官民一体となって強力に支援する」と強調した。
政府は現在、ウクライナ全土を4段階の危険情報で最高レベルの「退避勧告」の対象としている。上川陽子外相は会議で、復旧・復興に携わる企業関係者らに限って首都キーウへの渡航を認める方針を示した。「渡航に際しては必要かつ十分な安全対策を取ってもらうことが不可欠だ」と述べた。
共同声明は、両国間の包括的な協力強化を確認した。対ロ制裁の維持・強化が侵攻を「抑止する上で重要」との認識を共有。「制裁逃れ」の阻止へ「必要な行動を取る」と明記した。
日本企業のウクライナ投資を促進するため、租税条約締結に向けた署名や、投資協定見直しに向けた交渉開始で一致。ウクライナ企業関係者へのビザ発給要件緩和や、首都キーウでの日本貿易振興機構(ジェトロ)の事務所設置も打ち出した。
会議には、両国の政府・企業関係者らが参加した。ウクライナのシュミハリ首相は「両国間の協力の新しいスタートを切る日だ。皆さまと一緒に真の友情とパートナーシップを築いていきたい」と強調。岸田首相を同国に招待する考えを示した。ゼレンスキー大統領のビデオメッセージは同国の事情で見送られた。
両政府などは、地雷対策・がれき処理や農業、デジタル、電力・交通インフラなど7分野の協力を盛り込んだ56本の覚書を交わした。日本政府は地雷除去などの機材を提供するため無償資金協力も実施する。
岸田、シュミハリ両首相は19日夜、首相官邸で会談。終了後、共同記者発表に臨む。
[時事通信社]
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