ガザ住民の安全確保要請=未明の空爆で60人超死亡―米大統領
【ワシントン、カイロ時事】バイデン米大統領は11日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、パレスチナ自治区ガザ最南端の都市ラファへの軍事作戦について、避難している住民の安全を確保する計画なしに「進めるべきではない」と強調した。ホワイトハウスが発表した。
バイデン氏は会談で、ラファには「100万人以上が退避している」と指摘。そうした人々への支援や安全を確保する「信頼できる実行可能な計画」がない限り、軍事作戦を行うべきではないとの考えを伝え、慎重な対応を求めた。同氏はガザでの戦闘休止を目指しており、攻撃継続の姿勢を変えないネタニヤフ氏への不満を強めているもようだ。
イスラエル軍の発表によると、軍は12日未明にラファに激しい空爆を加えた。それと同時に、イスラム組織ハマスが昨年10月7日のイスラエル奇襲で拉致した人質の救出作戦を実行。激しい銃撃戦の末、アパートから60代と70代の男性2人を助け出した。
AFP通信は、空爆で住居14棟とモスク(イスラム礼拝所)3カ所が被害を受けたと伝えた。ガザ保健当局はパレスチナ人67人が死亡したと発表した。
イスラエル軍の攻撃が続く中、エジプトと接するラファにはガザ北部や中部から多数の避難民が流れ込み、難民キャンプで生活を送る。米政府高官は、避難民の安全を確保せずラファで軍事作戦に踏み切れば「大惨事になる」とけん制。アラブ諸国からもイスラエルへの警告が相次いでいる。
ネタニヤフ氏は、11日放映された米ABCテレビのインタビューで「勝利は手の届くところにある」と強調。ラファにハマス戦闘員が残っているとして、軍事作戦を敢行する考えを明言した。その上で、住民退避に向け「具体的な計画を策定している」と語ったが、詳細には触れていない。
[時事通信社]
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