欧州首脳に「オルバン疲れ」=自国最優先ハンガリーが翻弄
【ベルリン時事】欧州政界が「自国最優先」のハンガリーのオルバン首相に翻弄(ほんろう)される場面が頻発し、各国首脳の間に「オルバン疲れ」(ポーランド首相)が広がっている。強権姿勢の目立つオルバン政権を支える右派与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が、各国で台頭する右派ポピュリスト政党と連携を図る兆しもあり、欧州諸国が共同歩調を取る上で不安材料となっている。
「コーヒーを飲みに外へ出てはどうか」。昨年12月、ロシアの侵攻が続くウクライナの欧州連合(EU)加盟交渉入りを討議する首脳会議で、ドイツのショルツ首相がオルバン氏に退出を促した。首脳会議はオルバン氏不在のまま採決を行い、加盟交渉入りを決定。合意には全会一致が必要で、ロシアに融和的姿勢を続け反対を崩したくないオルバン氏と折り合うための奇策だった。
スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を巡っても、ハンガリー議会は合理的な理由を示さず承認を遅らせ、最後の未批准国となった。ハンガリー側は、同国の内政を批判するスウェーデンに「敬意の表明」を求め、クリステション首相の来訪を打診している。しかし、内実は加盟に慎重だったトルコに同調して遅延させてきただけだとの見方がもっぱらだ。
東欧政治に詳しい米ジャーマン・マーシャル財団のジュザンナ・ベーグ客員研究員は、ハンガリー政府や与党フィデスの関心は「オルバン氏のメンツを保つこと」にあると解説。批准手続きの進展はオルバン氏の決断次第だと指摘する。権威主義的なオルバン政権に、欧州政治が振り回されている構図が浮かぶ。
ハンガリーは「法の支配が損なわれている」としてEUからの補助金が一部凍結され、ウクライナ侵攻後もエネルギー調達で依存するロシアと良好な関係を維持するなど、欧州内で孤立してきた。だが、6月に予定される欧州議会選では、反移民やEUの権限抑制といったオルバン氏に近い主張を掲げる右派ポピュリスト勢力が議席を伸ばすと見込まれている。
ベーグ氏は「欧州議会はより右傾化し、(自身が所属する集団の利益を追求する)アイデンティティー政治が欧州レベルで前面に出るだろう」と予想する。7月からはハンガリーが持ち回りのEU議長国を務める。「オルバン流」が幅を利かせれば、欧州の意見集約が一段と難しくなりそうだ。
[時事通信社]
最新動画
最新ニュース
-
ロシア資産活用、10月までに=G7「建設的な議論」―米財務長官
-
幕開けは美しく、強く=パリの街で史上最大―五輪開会式、舞台はセーヌ川〔五輪〕
-
開会式当日のパリ〔五輪〕
-
パリの街、雨で幻想的に〔五輪〕
-
詰め込んだパリの魅力=約4時間、見事に締める〔五輪〕
写真特集
-
【パリ五輪】開会式
-
【ブレイキン】日本のブレイクダンサー〔パリ五輪〕
-
【野球】投打「二刀流」大谷翔平〔2024〕
-
【野球】プロ野球の歴代最多勝投手
-
【サッカー】U23日本代表2024〔パリ五輪〕
-
【大相撲】大関・琴ノ若
-
【女子フィギュア】千葉百音
-
【野球】野球殿堂に入った名選手