2024-02-04 14:50社会

京アニ放火「新たな犯行形態」=犯罪心理学者の桐生氏

取材に応じる東洋大の桐生正幸教授=2023年12月、東京都文京区
取材に応じる東洋大の桐生正幸教授=2023年12月、東京都文京区

 京都アニメーション放火殺人事件で、青葉真司被告(45)に死刑を言い渡した1月25日の京都地裁判決は、「京アニへの恨みを募らせた被告が、京アニ全体への大量殺人を選択した」と認定した。東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は、「手段としての放火と、動機としての無差別大量殺人が合わさった、新たな犯行形態だった」とした上で、こうした事件を前提とした防犯訓練が必要だと指摘する。
 判決では、2008年の秋葉原無差別殺傷事件の元死刑囚の境遇に共感した青葉被告が、01年の青森県弘前市の武富士放火殺人など、多くの犠牲者を出した事件を参考に、ガソリンを使った放火を選んだとした。
 桐生氏は「武富士事件は強盗目的だったが、青葉被告は秋葉原事件のようにテロ的な使い方をした」と分析。一方、自らも大やけどを負った青葉被告について「失うものは何もなく逮捕されて死刑になってもいいと思っていた。ただ、炎が自分に来たのは想定外だったのでは」と推測する。
 京アニ事件後には類似事件が発生。大阪市のクリニック放火殺人事件では26人が犠牲になった。小田急線や京王線の刺傷事件でも、乗客を切り付けた後に油がまかれており、多くの死者が出る恐れもあった。
 こうした状況を踏まえて「防災対策と同じように、防犯訓練が必要だ」という桐生氏。「『あいつはおかしい』と言うだけでは、何も進展しない。社会の安全を保つためには、社会から取り残されたと感じている人を手厚く支援し、世の中の価値観を変える必要がある」と強調した。 
[時事通信社]

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