イラン、報復攻撃を非難=反米勢力の支援継続へ
【イスタンブール時事】米国によるイラクとシリアの親イラン組織拠点への攻撃を受け、イラン政府は3日、「地域の緊張と不安定化を高める」と非難する声明を発表した。米国の報復攻撃が親イラン勢力の軍事力をどれだけそいだかは不透明。抑止効果は限定的との見方もある中、イランは各地の反米勢力の活動を今後も後押しするとみられる。
イラン外務省報道官は、攻撃は「米国の戦略的過ち」と糾弾。「冒険的行為を続ければ平和と安全の脅威になる」と警告した。
中東ではパレスチナ自治区ガザでイスラエルと交戦するイスラム組織ハマスに呼応し、イラクやシリアに加え、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラやイエメン武装組織フーシ派も攻勢を強化。イランは「抵抗勢力はイランから指示を受けていない」(外務省報道官)と主張しつつも、親イラン勢力への軍事支援を通じてけん制を強め、ガザの停戦や米国の中東への関与低下を求めてきた。
反米強硬派が主導権を握るイランも米国との直接戦争までは望んでいない。しかし、イラン国内が攻撃されたり、要人に犠牲者が出たりすれば「越えてはならない一線(レッドライン)」と見なし、強力な報復に踏み切らざるを得ない。トランプ前米政権が2020年に革命防衛隊司令官をイラクで暗殺した際は、イラクの米軍駐留基地に弾道ミサイル十数発を撃ち込み、一触即発の事態となった。
米国の反撃は複数回に及ぶとみられるが、現時点ではイラン側が危惧したよりも痛手や衝撃度は小さいと言える。イランは直接戦火を交えない程度に緊張を高めながら、間接的に対米国・イスラエル挑発行為を続ける公算が大きく、ライシ大統領も2日、「イランを威圧しようとすれば断固とした対応を受ける」とけん制している。
[時事通信社]
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