2024-01-23 16:48スポーツ

パリ五輪柔道女子の高市、心に秘めて=3度目は「味わう」―思い描くフィナーレ・花の都へ、あと半年(3)

パリ五輪柔道女子63キロ級代表・高市未来
パリ五輪柔道女子63キロ級代表・高市未来

 柔道女子63キロ級でパリ五輪に挑む高市未来(29)=コマツ=は「三度目の正直」という気負いも「2度あることは3度ある」といった不安も感じていない。メダルを追い求めてかなわなかった過去2大会と違い、「金メダルを取るとか、そういうのを捨てて戦いたい」。思いは心に秘める。
 勝負の一年を控え、年末年始は男子元世界選手権代表で夫の賢悟氏が代表コーチとして赴任している台湾で過ごした。2022年秋に結婚。会えるのは3カ月に1度くらいだが「お互いが何かに挑戦して、この時間を楽しんでいる」。充実した表情を見せ合うことで、「安心して柔道に打ち込める」という。
 初出場の16年リオデジャネイロ五輪は5位、前回21年東京五輪は春先のけがが響いて2回戦で敗退した。過去2度のこの時期にあった「やってやるぞ」といった気迫はなく、「今ももちろんギラギラしたいが、やるべきことは決まっている」と冷静に先を見据える。
 東京五輪では、失意の底で「悔しいとも思わないし、何かをやってやろうという気持ちにもならなかった」。それでも心の片隅にあった不完全燃焼の思いを消すため、膝の手術を経て22年秋の講道館杯で復帰。国際大会で優勝を重ねて五輪選考レースに加わり、昨年12月のグランドスラム(GS)東京大会で22年世界女王の堀川恵(パーク24)を直接対決で退け、パリへの切符を手にした。
 引退覚悟で臨んだ復帰戦の講道館杯で初めて柔道を楽しいと感じたという。「ただひたすら、1試合でも長くやりたい」との思いに突き動かされ、五輪への道が再び始まった。だからこそ3度目の舞台となるパリには「自分の柔道を発揮して、味わいたい。どれだけ長く五輪の畳で試合をできるか。自分に期待している」との心構えで挑む。
 パリでは東京五輪女王で自国開催のクラリス・アグベニェヌ(31)=フランス=が待つ。かつて世界選手権決勝で2度阻まれるなど長年せめぎ合い、「(柔道を)やめたくない理由の一つ」と語る。代表決定後に「最後に五輪の決勝の舞台で私たちのフィナーレを迎えよう」と声を掛けられ、「そうなったらどれだけ幸せなことか」。最高のシナリオを思い描く。 

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