2024-01-25 19:56社会

ピンポイント着陸に成功=小型ロボット、機体を撮影―月探査機「SLIM」・JAXA

小型探査機「SLIM」の着陸
小型探査機「SLIM」の着陸

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、日本初の月面着陸に成功した探査機「SLIM(スリム)」について、目標としていた誤差100メートル精度のピンポイント着陸を達成できたと発表した。観測機器の分光カメラによる月面撮影や、搭載していた小型探査ロボットによる機体撮影にも初めて成功した。機体は垂直に「逆立ち」した状態で、太陽電池パネルを西側に向けていることも分かった。
 記者会見した責任者の坂井真一郎JAXA教授は「ピンポイント着陸の性能としては10メートル以下が達成できた。今後の月惑星探査に向け、非常に大きな成果だ」と述べた。 
 SLIMは20日午前0時ごろ、高度約15キロから月面への最終降下を開始し、同20分ごろに月の赤道付近の「神酒(みき)の海」にあるSHIOLI(しおり)クレーター付近に着陸した。しかし、着陸後に太陽電池パネルが発電せず、バッテリーで取得データの送信を行った後、同3時ごろに電源をオフにした。
 JAXAによると、着陸直前、高度50メートルに到達した直後に、2台あるメインエンジンのうち1台の噴射ノズルが破損して脱落。その影響で機体が東に流され、最終的には目標から東に55メートルずれた地点に着陸した。エンジンの異常がなければ、誤差は3~4メートルから10メートル程度と評価できるという。高度50メートルまで異常の兆候はなかったといい、JAXAは原因究明を進める。
 着陸地点は今後数日間、太陽光が西側から当たるため、坂井教授は「電力を回復すれば、運用を再開できる可能性がある」と期待を口にした。
 SLIMは着陸直前、2台の小型探査ロボットを月面に投下。このうち、玩具メーカーのタカラトミーなどが共同開発した直径約8センチのロボットが、着陸後のSLIMの機体を撮影し、地上へ送信。月面で活動したロボットとしては、世界最小だという。

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