2024-01-10 21:24国際

米長官、パレスチナ議長と会談=国連のガザ現地調査に道筋―北部住民の帰還念頭

 【エルサレム時事】ブリンケン米国務長官は10日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラで自治政府のアッバス議長と会談した。パレスチナ通信によると、両者はパレスチナ自治区ガザやヨルダン川西岸に対するイスラエルの攻撃を止める取り組みや、ガザへの支援物資の搬入加速の重要性について協議。戦後統治の在り方についても議論したとみられる。
 AFP通信は米国務省報道官の話として、ブリンケン氏がアッバス氏に、パレスチナ国家樹立に向けた「具体的なステップ」への支持を伝えたと報じた。
 ブリンケン氏は9日にイスラエル中部テルアビブでネタニヤフ首相とも会談。住居を追われたガザ住民の帰還実現のため、国連によるガザ北部での現地調査を許可することで合意した。ガザ北部はイスラエルの苛烈な攻撃で広範囲が被害を受け、南部方面への避難を余儀なくされた住民は数十万人に上るとされる。
 ブリンケン氏は会談後の記者会見で、国連の調査について「避難民の安全な帰還に向けて何が必要かを見極めるため」と説明。イスラエルに対しては「パレスチナ指導者のパートナーである必要がある」と述べる一方、パレスチナ当局側も統治手法の改善が必要だと注文を付けた。これに関連し、イスラム組織ハマス関係者はロイター通信に「今回の(ブリンケン氏の)訪問は占領者(イスラエル)の安全を保証するのが目的だ」と批判した。
 イスラエル軍は先に、ガザ北部でハマスの「軍事的枠組みを解体した」として、北部での作戦を縮小し、中部や南部に注力する意向を示している。ガラント国防相は9日、南部最大都市ハンユニスでの作戦について「ハマス指導部を発見して人質が無事帰還するまで継続し、強化する」と表明した。
 軍は10日、過去24時間の作戦で、150カ所近くの標的を攻撃したと発表した。また、イスラエル兵1人が新たに死亡。地上侵攻を開始した10月下旬以降、イスラエル軍の戦死者は186人となった。 
[時事通信社]

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