ウクライナ・中東危機で逆風=「変革」の時代、問われる指導力―米
【ワシントン時事】ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突、緊張が続く米中関係―。世界情勢は来年、「今年以上に激動の年となる」(米外交専門家)見通しだ。来月に台湾総統選、11月には米大統領選を控える中、揺らぐ国際秩序を立て直せるか。米国の指導力が強く問われる。
◇出口見えない危機
「米国は世界史上、最も強力な国家だ。ウクライナ侵攻と中東危機に同時に対処しつつ、世界全体の防衛体制を維持できる」。バイデン米大統領は10月、CBSニュースとのインタビューで力を込め、ウクライナやイスラエルを支援しつつ、国際秩序を安定させることに自信を示した。
だが、強気な姿勢とは裏腹にバイデン政権には逆風が吹き荒れる。
バイデン氏は10月、対ウクライナ軍事支援を盛り込んだ総額1059億ドル(約15兆円)に上る追加予算を議会に要求。年末までに政府予算が枯渇すると警告し、承認を迫ったが、下院で多数派を握る共和党が反対して審議が難航。承認は年明けへと先送りされた。
中東ではイスラエルがハマス排除を目指し、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を継続。ガザでの犠牲者増加に伴い、イスラエルを支援するバイデン政権への風当たりが強まる一方だ。紅海周辺ではイエメンの親イラン武装組織フーシ派が商船を攻撃。米軍は有志連合結成を主導し、船舶護衛に乗り出したが、紛争拡大への懸念は深まる。
◇連鎖への不安
インド太平洋に目を向ければ、南シナ海で島々の領有権を争う中国とフィリピンの衝突が頻発し、緊張が高まっている。バイデン氏は中国の習近平国家主席と11月、米サンフランシスコ近郊で1年ぶりの会談を行い、軍同士の対話再開などで合意。ウクライナと中東の対処を優先するため、中国との一時的な緊張緩和を演出したが、対立の火種はくすぶったままだ。
米シンクタンク、外交問題評議会のジェームズ・リンゼイ上級副会長は現下の国際情勢を「変革の真っただ中にある」と説明。国際秩序を巡る米中間の主導権争いに代表される「地政学的対立」が繰り広げられ、「連鎖反応」で各地で紛争が勃発する恐れを指摘する。
リンゼイ氏は米国が中国、ロシアとの「大国間競争」を勝ち抜くためには、多くの友好国との連携が必要だと主張する。バイデン政権は「味方にしたい国々に何を与えるべきか考える必要がある」と述べ、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国などへ、戦略的に接近する重要性を強調している。
[時事通信社]
最新動画
最新ニュース
-
味を濃くするスプーン=「エレキソルト」発売―キリン
-
生体データ取得で合意を=プロ野球選手会
-
「台湾独立の立場堅持」と非難=中国
-
次世代車、世界シェア3割目標=ソフト開発へ連携―新戦略案
-
規正法改正「今国会で実現」=森元首相の再聴取否定―岸田首相
写真特集
-
【大相撲】大関・琴ノ若
-
【女子フィギュア】千葉百音
-
【野球】野球殿堂に入った名選手
-
【駅伝】第100回箱根駅伝
-
【女子フィギュア】吉田陽菜
-
【男子フィギュア】山本草太
-
【野球】日本シリーズ関西対決 阪神が38年ぶり日本一
-
【MLB】ドジャースの歴代日本選手