2023-12-23 14:21社会

京都、本州の補給拠点に=火薬庫、陸・海自衛隊共同使用―増設に102億円計上・防衛省予算

陸上自衛隊の弾薬庫がある祝園分屯地=11月15日、京都府精華町
陸上自衛隊の弾薬庫がある祝園分屯地=11月15日、京都府精華町

 防衛省は反撃能力(敵基地攻撃能力)や、補給を切らさない継戦能力を保有するのに伴い、取得するミサイルや弾薬の保管場所を確保するために、陸上自衛隊の祝園分屯地(京都府精華町など)を整備し、陸自だけでなく、海上自衛隊の弾薬も保管できるようにする方針を固めた。政府関係者への取材で分かった。
 同分屯地は本州の陸自弾薬庫施設では最大級の規模。海自と共同使用することで、南西諸島や九州だけでなく、本州でも有事に備えた補給拠点が整備される形だ。反撃能力保有を決めた安全保障関連3文書により、全国で火薬庫増設計画が進められる中で、共同使用の方針が決まった初のケース。
 同省は2024年度予算案に祝園分屯地内にある関西補給処祝園弾薬支処の火薬庫を8棟増設する設計・工事費102億円を計上。安保3文書に基づく個別の火薬庫整備の予算額としては、これまでで最高となる。
 3文書の一つの防衛力整備計画(23~27年度)は、敵の射程圏外から攻撃できる長射程ミサイルの整備に、前回計画の25倍に当たる5兆円を投じ、弾薬・誘導弾も2倍の2兆円分取得する。
 特に海自は、イージス艦に搭載する米国製巡航ミサイル「トマホーク」最大400発や、多数の新型迎撃ミサイルを取得するため、火薬庫不足が課題になっている。京都にはイージス艦2隻が配備されている舞鶴基地(舞鶴市)がある。
 防衛省は祝園分屯地について「部隊運用上の利便性や既存施設の状況などを総合的に勘案した結果、自衛隊の共同運用の一環として、陸上自衛隊の施設管理の下、海上自衛隊の弾薬も保管することとした」とコメント。保管する弾薬については、「自衛隊の能力が推察されるため、個々の火薬庫に保管される弾薬の種類はお答えできない」としている。
 祝園分屯地は近畿圏の中央に位置し、交通アクセスにも恵まれる。面積は約470ヘクタールで、東京ドーム約100個分に相当。戦時中は旧陸軍の弾薬庫として使われ、「東洋一の弾薬庫」とも呼ばれた。戦後の米軍接収期には、朝鮮戦争の補給地になったとされる。
 祝園分屯地がある精華町は京都、大阪、奈良の3府県にまたがる関西文化学術研究都市の中心地で、町内には多くの企業の研究施設や国立国会図書館関西館が立地する。分屯地近くでも企業誘致計画が進められており、大規模な火薬庫増設は地元の反発を招く可能性もある。 
[時事通信社]

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