2023-12-19 07:20国際

米独禁当局の判断焦点=日鉄・USスチール統合

 【ニューヨーク時事】日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを約2兆円で買収することを決めた。今後の焦点は米独禁当局が買収を承認するかどうかに移る。来年に米大統領選を控える中、労働者の権利保護を重視するバイデン政権が巨大鉄鋼企業の誕生を容認するかは見通せない。
 日鉄は18日、USスチールの全株式を取得し、2024年4~9月に子会社化する方針を発表した。世界鉄鋼協会によると、両社の粗鋼生産量(22年)は計5886万トンに上り、宝武鋼鉄集団(中国)やアルセロール・ミッタルに次ぐ世界3位の規模となる。スケールメリットを生かした脱炭素投資の資金確保や、経済安全保障の強化につなげたい考えだ。
 競争力低下に直面するUSスチールは今年8月、身売りを含めた戦略的選択肢の検討を開始。これまでにアルセロールなどによる買収案が浮上したが、実現しなかった。
 米当局は大企業のM&A(合併・買収)に厳しい視線を向ける。米連邦取引委員会(FTC)などは寡占阻止や買収先の労働者保護を進めるため、巨大企業のM&Aには慎重だ。大統領選をにらみ、民主党政権の支持基盤である労組にアピールする思惑も透ける。
 全米鉄鋼労組(USW)は18日、日鉄とUSスチールの統合について、独禁当局に厳正な審査を求める声明を公表した。 
[時事通信社]

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