授業中、石を割ったら新種化石=30万年前、コガネムシの仲間―慶応の教諭
慶応義塾高(横浜市)の地学の授業中、生徒が見つけた昆虫の化石が、コガネムシの仲間のセンチコガネ科の新種だと分かった。慶応義塾幼稚舎理科教諭で古生物学を研究する相場博明さんらが9日までに、日本古生物学会の国際誌に発表した。
相場さんは1995年、栃木県那須塩原市の自然史博物館「木の葉化石園」が、敷地内にある約30万年前の地層(塩原層群)から掘り出してお土産用に販売していた岩石に着目。これを教室に持ち込み、生徒が割って「化石採集」を体験してもらう指導法を開発した。同園の協力も得て、現在では1000校以上の学校や博物館が授業やイベントなどで取り入れている。
慶応義塾高でも地学の授業で行われていたが、昨年9月、当時3年生の八谷航太さんが割った岩石の中から、体長25ミリのコガネムシのような昆虫の化石がほぼ完全な形で見つかった。
連絡を受けた相場さんは、動物のふんなどを食べるセンチコガネ科の一種で、背中や前脚などの特徴が既知の種と明らかに異なると判断。海外の専門家の協力も得て新種と結論付け、学名を八谷さんにちなむ「セラトフィウス・ヤタガイイ」、和名をヤタガイツノセンチコガネと名付けた。
塩原層群からは約110種の昆虫化石が見つかっているが、ほとんどが現生種で、絶滅した新種と確認されたのは初めて。相場さんは「授業中に新種が見つかったのは初めてだと思う。化石の昆虫は、(食料となる)ふんをしていた動物と一緒に絶滅したのかもしれない。その動物がどんな動物かを調べるのも面白い」と話した。
[時事通信社]
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