アテネで大英博物館所蔵のつぼ展示、250年で初の貸し出し
【アテネAFP=時事】英ロンドンの大英博物館から250年間持ち出されたことがなかった2500年前の古代ギリシャのつぼが、今週からギリシャの首都アテネのアクロポリス博物館で展示される。展覧会主催者が5日、発表した。≪写真はギリシャ・アテネのアクアポリス博物館に展示される、大英博物館から貸与された「メイディアスのヒュドリア」≫
大英博物館が「史上最も有名なつぼ」とうたう「メイディアスのヒュドリア(つぼ)」は紀元前420年ごろのアテネの陶工メイディアスの作とされ、イタリアで出土。駐ナポリ英国大使だったウィリアム・ハミルトンが収集し、1772年に大英博物館に売却した。
アクロポリス博物館のニコラオス・スタンポリディス館長は、今回の4か月間のつぼの借用は、現在大英博物館が所有する、ギリシャ・パルテノン神殿の大理石像をめぐる問題には何ら影響しないと強調した。
スタンポリディス氏は、「展覧会への貸し出しとパルテノンの大理石像は別の問題だ」「われわれは像が恒久的に返還されることを望んでいる」と記者らに話した。
パルテノンの大理石像とは、「エルギン・マーブルズ」と呼ばれる、19世紀初頭に英外交官でエルギン伯爵のトーマス・ブルースが英国に持ち帰った石像コレクションのこと。
ギリシャは長年「エルギン・マーブルズ」は盗まれたと主張し返還を求めているが、英国は合法的に取得されたとしている。
リシ・スナク英首相は先週、訪英していたギリシャ首相との会談を直前に中止。英政府側は、ギリシャ政府が訪英を所有権問題を蒸し返す「舞台」として利用しないという約束を守らなかったためだと主張した。
7日に開幕する展覧会「ノエマタ」は、古代~近代ギリシャの芸術家が愛や健康、時間など抽象的な題材をどう表現してきたかを解き明かすもの。会期は来年4月14日まで。メイディアスのつぼの他にもコインや陶磁器、像、モザイク、写本、絵画など約160点が展示される。
メイディアスのヒュドリアはギリシャでの展示後、フランスのルーブル美術館で五輪をテーマにした展覧会に貸し出される。【翻訳編集AFPBBNews】
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