2023-11-28 16:43World eye

世界最大のエビ養殖産業、強盗の標的に エクアドル

【グアヤキルAFP=時事】世界最大のエビ輸出国、南米エクアドル。世界の食卓に並ぶ甲殻類の5匹に1匹はエクアドル産のエビだ。≪写真はエクアドル・グアヤス州タウラのエビ養殖場≫
 そのエクアドルのエビ養殖業者が今、警備費で数百万ドル規模の出費を余儀なくされている。
 「われわれは日々、警察よりも重武装している犯罪者の標的となっている」。そう語るのは、エビの養殖・輸出関連4000業者を束ねる全国水産養殖会議所(CNA)のホセ・アントニオ・カンポサーノ会長だ。
 CNAによると今年1~8月には会員64業者が、海上あるいは陸上輸送ルート上で強盗などの被害に遭っている。死傷者が出たケースもあった。
 グアヤキル湾プエルトロマでは出航しようとしていたエビ業者6人が、武装集団に至近距離から銃撃され、積み荷を盗まれた。一団はスピードボートで走り去ったという。
 被害に遭った業者たちは、グアヤス州の州都グアヤキルの港の波止場に血まみれでたどり着いた。
 他にもエビの輸送トラックが高速道路で武装集団に乗っ取られ、運転手が重傷を負う事件もあった。
 CNAによると、養殖場自体も強盗の被害に遭っている。
 エビ養殖地となっているグアヤキル近郊プナ島の漁師(51)は「商品を陸へ揚げるときには襲撃に備えて、危険な場所を避けている」と語った。「海軍も巡回しているが、養殖場の近くまでは来ない」と言う。
 海軍職員はAFPに対し、安全上の理由から巡回に同行させることはできないと述べた。
 カンポサーノ氏によるとグアヤキル湾のプンタロマや、エビを包装工場に運ぶ沿岸道路などは襲撃が多い「危険ゾーン」で、CNAではレーダーや独自の技術を使って情報を集め、警察に伝えている。
 だが地域によっては、治安部隊がまったくいない「無法地帯」だという。
 グアヤス州でエビ養殖場を経営するクレベル・シゲンサ氏は、麻薬ギャングが縄張りとする地域で6月に同僚が誘拐された事件を受けて警備員を雇い、ビデオ監視システムを導入したと語った。
 CNAの推計によると、会員全体で今年だけですでに1億ドル(約150億円)を警備に費やしている。
 隣接するエルオロ州のエビ生産者組合のエディソン・ブリト会長によると、犯罪組織は「用心棒代」と称して会員から金銭を巻き上げている。「海軍の支援がないので受け入れるしかない。金を払うしかない」【翻訳編集AFPBBNews】

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