戻らぬ中国の観光客=往来再開に期待―台湾・金門島
中国南部・福建省アモイ市と、沖合数キロにある台湾が実効支配する金門島を結ぶ旅客船が今年、約3年ぶりに運航を再開した。ただ、中国大陸の観光客の乗船は禁止されたままで、金門島はかつてのにぎわいを取り戻していない。島では往来の全面再開を期待する声が多く聞かれた。
◇売り上げは半分
「ここは中国大陸とのつながりで生きているんだ。(台湾当局は)大陸の人の利用を認めてほしい」。島民の60代男性はこう訴える。旅客船は新型コロナウイルス禍の影響で2020年に運航を停止。今年1月に再開され、まずは台湾側の住民が利用可能に、9月には中国大陸の住民を除いて乗船が認められた。
報道によると、コロナ前の19年には、金門島を訪れた観光客の4割が大陸の住民だった。現在、土産物店の売り上げは「かつての半分」(女性店員)にとどまっているという。
◇われわれは「金門人」
もっとも、中台間の緊張が続く中でも、大陸側と金門島の結び付きを強める動きは出ている。18年には福建省から島への水の供給が始まった。島から目と鼻の先のアモイ市沿岸には埋め立て地が整備され、新空港の建設工事が進む。中国政府は新空港を金門側と共用する構想を持っているとされる。台湾でも中国に融和的な最大野党・国民党や第2野党・民衆党が経済統合に前向きな立場だ。
国民党支持の70歳女性は「われわれは『金門人』だ。台北はあまりに遠い。大陸とは文化や習慣が異なるが、うまくやっていく必要がある」と話す。金門島を地盤とする同党の陳玉珍立法委員(国会議員)は取材に対し、金門島一帯を大陸からの観光客受け入れなどに向けた「実証エリア」にすべきだと主張。大陸側と島を結ぶ橋の建設構想についても「賛成だ。貿易が一段と便利になる」と強調した。
◇根強い警戒感も
中国政府は今年9月に福建省と台湾の経済一体化を一段と深める方針を表明。同省内で台湾出身者の経済活動や就学を支援するとアピールした。だが、台湾では警戒感も根強い。
1997年に英国から中国に主権が移った香港では中国の影響力が拡大し、政治はもとより経済でも共産党による統制が強まる。台北在住で中国に批判的な台湾の与党・民進党支持者の30代女性は「『統一』されれば、香港と同じ運命になる。台湾人への優遇は永遠には続かない」と話した。 (金門島=台湾=時事)
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