2023-11-17 17:52政治

賃上げ税制、実効性課題に=政府・与党が拡充検討

現行の賃上げ促進税制
現行の賃上げ促進税制

 政府・与党は17日に始まった2024年度税制改正論議で、賃上げに積極的な企業の法人税負担を軽減する「賃上げ促進税制」の拡充を検討する。給与を増やした企業への控除引き上げなど減税措置の上乗せが見込まれる。財務省は、現制度が企業に賃上げを促す効果は乏しいと分析。賃上げに結び付くような制度にできるかが焦点となる。
 現行制度は大企業向けの場合、給与などを前年度比で総額3%以上増やすと増額分の15%、4%以上増やすと25%控除できるようになる。中小企業向けでは、1.5%以上で15%、2.5%以上で30%の控除が可能となる仕組みだ。
 しかし、財務省が法人税の電子申告データを用いて行った分析によると、賃上げ税制の適用対象となる大企業のうち、8割以上が上乗せ要件がある4%以上の賃上げを達成。制度を適用した中小企業も9割以上が2.5%以上賃上げをしていたことが分かった。賃上げ税制の上乗せ要件によって、企業の行動変化を示すような明確な結果も得られなかったという。
 鈴木俊一財務相は17日の閣議後記者会見で「真に企業の賃上げを後押しする制度にしていく必要がある」と述べた上で、税制の効果を分析する重要性を指摘した。経済産業省などを中心に、現行の税優遇枠を残しつつ、さらに高い賃上げを達成した企業には税額控除を引き上げる案がある。
 賃上げ税制の改正ではこのほか、現行の大企業のうち、従業員数2000人以下の企業を「中堅企業」と位置付け、税優遇を受けられる要件を緩和する方向。子育て支援に力を入れる企業への税優遇の上乗せや、中堅・中小企業向けに使えなかった税額控除分を翌期以降に繰り越せるようにする「繰り越し控除」措置の創設なども議論する。 

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