2025-03-14 19:46政治

石破首相、自民にも進退論=違法性・機密費使用を否定―商品券配布、野党攻勢

 石破茂首相は14日、自民党の新人衆院議員15人に配布した10万円分の商品券について「政策推進や特定候補推薦の意図は全くない」と述べ、政治資金規正法には抵触しないとの認識を示した。原資として官房機密費(内閣官房報償費)の使用も否定。ただ、首相自身に「政治とカネ」の問題が発覚し、野党は攻勢を強める方針だ。自民内は、夏の参院選へ危機感を募らせており、一部に進退論も浮上している。
 首相は参院予算委員会で、3日夜に首相公邸で開いた懇談会の「土産」として商品券配布を認め、改めて陳謝。「高額で世の中の常識と違うとの指摘は甘んじて受ける」と語った。
 規正法は、政治活動に関して個人から政治家への金銭などの寄付を禁じている。
 首相は、商品券配布の趣旨について「(議員)本人と家族へのねぎらい」と説明。政治活動ではないと強調した。過去に同様の事例があったことも認め、回数は「両手で数えて足りるか足りないかぐらいだ」と述べた。
 与党幹部は首相を支える構えだ。自民の森山裕幹事長は記者団に「首相の責任の取り方は2025年度予算案の早期成立だ」と擁護。公明党の斉藤鉄夫代表は記者会見で「耳を疑った。国民の理解を得られる行為ではない」としつつも、進退は「課題に取り組んで国民の信頼を回復することに尽きる」と述べた。
 もっとも、自民の青山繁晴参院議員は記者団に「進退も含めて自ら決めるべきだ」と述べ、予算成立後の辞任を公然と要求。党内には「退陣に追い込まれる可能性は十分ある」(関係者)との見方がくすぶる。
 これに対し、立民の野田佳彦代表は会見で「政治活動の寄付に当たる」と指摘した。首相の政治責任を問う一方、内閣不信任決議案の提出については「説明責任を果たすよう追及し、その先のことは考えたい」と述べるにとどめた。立民内は「石破首相を相手に参院選を戦いたい」との声が強い。
 日本維新の会の前原誠司共同代表は会見で「国民感情は厳しい」と批判。衆院で賛成した予算案に関し、「(参院で)賛否と結び付けるか党内で話し合いたい」と含みを残した。
 与野党が月内の意見集約を目指す企業・団体献金の在り方を巡る議論にも影響する可能性がある。 
[時事通信社]

最新ニュース

写真特集

最新動画