喜びと悲しみ、そして怒り=ハマスに冷めた声―ガザ停戦合意
【カイロ時事】1年3カ月にわたって苛烈な軍事作戦下に置かれたパレスチナ自治区ガザの住民の多くは、停戦に喜びを爆発させた。その一方、戦闘で甚大な被害を受けた住民は、悲しみや怒りも抱えている。住民がメッセージアプリなどで時事通信の取材に答えた。
停戦が報じられると、ガザ住民は街に出て、両手を挙げて歓声を上げたり指笛を吹いたりして喜びを爆発させた。行き交う人々が、感極まって抱擁を交わす。肩車された男性がパレスチナの旗を振り、街を練り歩いていた。
ガザ南部ハンユニスに避難しているブハルさん(35)は、停戦の一報を聞くと神に感謝を伝えたという。「イスラエルはパレスチナ人の抵抗を止めることができなかった。最終的にわれわれの要求を受け入れて合意した」と述べ、停戦を喜んだ。
ガザ中部ヌセイラトのアリ・アブデルファタさん(31)は、兄を失った悲しみは消えないと指摘。「喜びは一瞬で、乗り越えられないようなつらい記憶ですぐに心が満たされる」と語った。
ガザ北部で避難生活を送るイマド・ラフィクさん(60)は、2023年10月のイスラム組織ハマスによる対イスラエル奇襲がイスラエルによる軍事作戦を招いたことを念頭に「ハマスのせいで、ガザは破壊された」と怒りをにじませた。たとえハマスが停戦による「勝利」をアピールしようと「これは敗北だ」と強調した。
一方、イスラエルの人々の心境は複雑だ。ハマスに家族を拉致されたハダス・カルデロンさんは地元テレビ局の取材に目に涙を浮かべながら「とても幸せで興奮している」と語った。子供2人はすでに解放されたが、ガザに残されている元夫の生死は不明。「生きていると信じたい。子供たちには彼が必要だ」と語った。
人質家族の団体は声明で、「全員が帰還するための大きな一歩だ」と停戦を歓迎。ただ、残る人質が引き続き解放されるかどうか「深い不安と懸念がある」と表明した。
[時事通信社]
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