「剛腕」米大使、退任=際立つ個性、あつれきも
威圧的行動を繰り返す中国をにらみ、日米同盟の強化に尽力した米国のラーム・エマニュエル駐日大使(65)が14日、退任し日本を離れる。オバマ元大統領の元側近で与党民主党内に多くの知己を持ち、ホワイトハウス高官らと直接話して政策実現を図る「剛腕」(日本政府関係者)で知られたが、その強い個性は時にあつれきも生んだ。
「シカゴが故郷だが、日本も自分の居場所だと感じる」。エマニュエル氏は10日、大使として最後の記者会見で「日本が私の心を奪ってしまった。日本と恋に落ちた」と話し、自身を温かく迎えた国民への謝意を表明した。
約3年にわたった在任中、エマニュエル氏は防衛に特化した「守りの同盟」から地域秩序形成を担う「打って出る同盟」に日米関係を変えることを目標に掲げ、経済安全保障や軍事面での連携の基盤確立に力を注いだ。
日本政府が抑止力の要と位置付ける反撃能力(敵基地攻撃能力)の整備では、日本への米国製巡航ミサイル「トマホーク」売却を後押し。極東に展開する米海軍艦艇を日本で整備する計画も主導した。
一連の同盟強化策の背後には、中国の存在がある。エマニュエル氏はSNSも駆使して中国の経済的威圧などを繰り返し非難。習近平国家主席をあざけるような内容もあったことから、SNSへの投稿を控えるよう、バイデン大統領の側近がエマニュエル氏に要請したとも報じられた。
日本にも歯に衣(きぬ)着せぬ要求を突き付けた。LGBTなど性的少数者への理解増進法を巡って、可決は「難しいわけではない」と政界に迫り、保守派の不興を買った。2024年8月には、駐日イスラエル大使が招待されなかったことを不服として、長崎市で開かれた原爆の日の平和祈念式典を欠席。困惑を広げた。
前任のウィリアム・ハガティ氏(65)が調整型だっただけに、「鉄オタ(鉄道オタク)大使」を自称して新幹線で全国を駆け巡り、幅広い人脈を築いたエマニュエル氏の言動は目を引いた。「ちょっとばかり活発過ぎたかと言われれば、その通り。後悔はしていない」。同氏は9日、記者団にこう語り、今後も公務に就きたいと意欲を示した。
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