西村主審、25年のキャリアに幕=「人生が豊かに」―サッカー
サッカーの国際審判員として活躍した西村雄一氏(52)が今季限りで第一線を退いた。「審判活動を通じて自分の人生を豊かにすることができた」。約25年のキャリアを終え、そう実感を込めた。今後は後進の育成に尽力する。
2004年に国際審判員となり、ワールドカップ(W杯)2大会で審判団に選ばれた。華やかな舞台に立てる半面、判定への批判は付き物。14年W杯ブラジル大会では日本人として初めてブラジル―クロアチアの開幕戦の主審を担当したが、ブラジルに与えたPKの判定が大きな物議を醸した。
西村氏は「(判定が)違うという意見は絶対に出てくる。完璧にできる試合はない」と指摘。その上で、「皆さんに納得していただけるものに近い判定をしよう、という風に心掛けていた。批判はなるべく少なければいい、という思いが一番」と率直に明かした。
国際審判員を14年まで務め、その後も国内でピッチに立ち続けた。Jリーグでは実に571試合で笛を吹き、「感動に立ち会うことができた」。選手と同様にやりがいがあった。11年3月下旬、東日本大震災発生直後に開催された日本代表とJリーグ選抜の慈善試合で主審を務めた。Jリーグ選抜の一員だったカズこと三浦知良(鈴鹿)の得点は鮮明に記憶に残っており、「全ての人が喜ぶゴールは僕の人生でも一度しかない」。
鍼灸(しんきゅう)治療をはじめ体のケアにも気を配りながら、52歳まで任務を全うした。来季から日本サッカー協会の審判マネジャーに就任する。「生まれながらにレフェリーという人は誰もいない。ミスを恐れずにチャレンジすること。これに尽きる」。自身の経験を惜しみなく伝えていく。
[時事通信社]
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