支援企業「隠蔽打診」と証言=自民田畑氏の党員登録巡り―262人分、一部実在せず
自民党の田畑裕明衆院議員(富山1区)が支援企業2社の従業員らを無断で党員登録していた問題で、うち1社で役員を務める男性が30日までに時事通信の取材に応じた。身に覚えのない宛名で党総裁選の投票用紙が届き、問題発覚後、田畑氏から隠蔽(いんぺい)のための口裏合わせを打診されたなどと証言した。
田畑氏は11月29日夜、富山市内で記者会見し、不適切な党員登録は262人分に上り、中には実在しない人物もいたと明らかにした。2020年に亡くなった親族が党員を募り、党費を肩代わりする形で15年から続いていたと釈明し、自身の関与は否定した。
支援企業の男性によると、この企業は田畑氏が富山県議だった十数年前から支援。同氏の求めに応じて社員名簿を渡したところ、男性宅に党員向けの冊子などが届くようになった。
7、8年前からは宛名が自分とは別の人物に変わり、党総裁選の際には投票用紙も送られてきた。田畑氏側に確認すると「どこにでもある話」と言われたという。
今年9月の総裁選では社員十数人に計60~70枚の投票用紙が届き、党県連に問い合わせて無断登録が発覚した。名字のみ同じで下の名前が異なる、実在しない人物宛てのものもあった。
発覚後、田畑氏から「ポケットマネーで党費を支払ったことにしてほしい」と持ち掛けられた。男性が拒否すると「亡くなったおじが支払ったことにする」と電話があり、男性はその後連絡を絶ったという。
田畑氏は12年衆院選で初当選し、現在5期目。旧安倍派に所属し、派閥の裏金事件では政治資金収支報告書に不記載があったとして注意を受けた。
党本部によると、党員数は23年末時点で約109万人で、120万人の獲得を目指している。14年には国会議員らに党員1000人確保のノルマを課すこともあった。
党県連の宮本光明幹事長は「無断で党員登録することはあってはならない」と強調。ある国会議員の秘書は「支援者への裏切りだ」と話した。
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