専門書店も激減 衰退するウルドゥー語文学
【ニューデリーAFP=時事】インド・オールドデリーのバザールの本屋に、店主のモハメド・マフフーズ・アラムさん(52)がさびしげに座っている。ここは、ウルドゥー語の本を販売する数少ない書店の一つだ。≪写真はオールドデリーのウルドゥー語書店≫
アラムさんは今年、ウルドゥー語を愛する気持ちから、約100年前に開業した書店「マクタバ・ジャミア」の経営を引き継いだ。
インド憲法で正式に認定された22の言語の一つであるウルドゥー語を母語とするインド人は少なくとも5000万人。さらに、数百万人が非母語として話すことができ、隣国パキスタンの国語でもある。
ウルドゥー語は詩人たちにも何世紀にもわたり、愛されてきた。
しかし、ウルドゥー語文学はヒンディー語の文化的勢力に圧倒されている。さらに、アラビア文字やペルシャ文字から派生した独自の表記を使うウルドゥー語は外国からの輸入文化であり、イスラム教徒の言葉であるという誤った認識にも苦しめられている。
アラムさんは「(ウルドゥー語の)書籍が年100冊出版される時代もあった」と話し、ウルドゥー語文学とその読者が減少している現状を嘆いた。
アラムさんの書店があるウルドゥー・バザールは、約400年前に建てられたモスク「ジャーマ・マスジッド」のほど近くにある。
バザールにはかつてウルドゥー語書店が軒を連ね、オールドデリーのウルドゥー文学コミュニティーの中心かつ、印刷、出版、執筆の中心となっていた。
だが、狭い通路はいまや、書店に入れ替わり出店した飲食店から漂う、焼きたてのケバブの香りで満ちている。
現在も営業するウルドゥー語書店は5軒ほどしかない。
アラムさんは、ウルドゥー文学が「日ごと衰退している」のを感じると言う。
暗い表情で「朝から座っているが、来店したのはわずか4人だ」「しかもその4人も、勉強のための本を求める大学生や高校生だった」と話した。
「ウルドゥー語はイスラム教徒と結び付けられてきた。これも衰退に影響した」
「だがそれは誤解だ。だれでもウルドゥー語を使う。村々に行けば、村人はウルドゥー語を話している。とても素晴らしい言語で、穏やかな言葉だ」【翻訳編集AFPBBNews】
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