低所得者給付、子育て世帯は加算=AI・半導体、複数年で10兆円支援―経済対策、与党に原案提示・政府
政府は12日、月内に策定する総合経済対策の原案を自民党などに提示した。物価高対策として低所得者世帯に給付金を支給し、子育て世帯には加算することや、人工知能(AI)・半導体の技術開発支援などに複数年度で10兆円以上を投じることが柱。地方自治体による物価高対策の支援も盛り込んだが、電気・ガス代補助の継続は現時点で含まれていない。対策の規模なども含め、今後調整する。
自民党の小野寺五典政調会長は同日の党の会合で「最も大切なのはすべての世代の賃金、所得を増やすこと。成長産業の支援、物価高対応も大切だ」と強調した。政府は経済対策を22日にも閣議決定したい考えだが、ずれ込む可能性もある。
対策原案では、低所得者向け給付金は住民税非課税世帯を対象とし、子どもの人数に応じて加算することを明記したが、金額は示さなかった。また、自治体による学校給食費支援などを「重点支援地方交付金」で後押しする。
重要性が増すAI・半導体産業の育成では、2030年度までの7年間で必要な技術開発や投資を重点支援するため、「複数年度にわたって、補助・委託、金融支援、法制上の措置により10兆円以上の公的支援を行う」と盛り込んだ。民間企業の設備投資などを促し、地方も含めた経済効果の波及を狙う。再生可能エネルギーや原子力など「脱炭素効果の高い電源を最大限活用」する考えも示した。
年内で終了予定のガソリン補助金では「出口に向けて段階的に対応する」としたが、時期の明示はなく延長に含みを残した。
一方、公明党が求める電気・ガス代補助の復活や、国民民主党が掲げる「103万円の壁」見直し、ガソリン減税などについては盛り込まれなかった。今後、策定に向けて政党間で議論される見込みだが、歳出増加や税収減、税制の見直しにつながる可能性があり、先行きについては紆余(うよ)曲折も想定される。
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