自治体、住民税減収に懸念=「103万円の壁」見直し
2025年度税制改正の焦点となっている「年収103万円の壁」の見直しを巡り、地方税である個人住民税の減収にもつながるとして、自治体側で不安視する声が広がっている。与党と政策協議入りする国民民主党の主張に沿って基礎控除を引き上げた場合、地方だけで約4兆円の税収減が見込まれるためだ。全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは7日、首相官邸で林芳正官房長官と面会し、懸念を伝えた。
「物価高対策や地方創生など課題が山積する中、減収になれば地方にとっても非常に大きな影響になる」。村井氏と共に政府への要望を行った知事会地方税財政常任委員会の河野俊嗣委員長(宮崎県知事)はこう指摘。河野氏は6日に自民党の森山裕幹事長らとも面会し、「地方も減収になりかねない課題だ。議論していかなくてはならない」との認識が示されたという。
衆院選で与党が過半数割れし、法案や予算案の成立には野党側の協力が不可欠。ただ、国民民主の主張を踏まえた政府の試算で、国・地方の減収額は計7兆~8兆円に上ると見込まれ、財源確保が課題となる。国民民主の玉木雄一郎代表は税収の上振れや予算のうち使う必要がなくなった「不用額」で賄う考えを示すものの、今後の政策協議の行方は不透明だ。
地域産業での人手不足に直面する地方側からは「年収の壁」の見直し自体は「早急に是正するべきだ」(滋賀県の三日月大造知事)と理解を示す声がある。一方、財政面では地方税が減収するのに加え、一部が地方交付税の財源となる所得税(国税)も税収が減り、自治体運営に影響が及ぶ恐れがある。千葉県の熊谷俊人知事は「(地方財政に)穴をあけないよう、しっかりとした財源措置を求める」と強調している。
[時事通信社]
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