最速大関、注目の土俵=期待背負う大の里―大相撲・博多彩る人気者(上)
大相撲九州場所は10日、福岡国際センターで初日を迎える。昭和以降最速となる初土俵から所要9場所で昇進した新大関の大の里は、2場所連続の優勝を狙う。1年半ぶりに三役に復帰した元大関の正代も注目される。
◇看板力士の自覚胸に
出世の速さに髪の伸びが追い付かず、前代未聞のちょんまげ姿で相撲界の看板を背負う。「慣れていない部分もたくさんある」と率直な胸中を明かしつつ、「一層、引き締めないといけない」。言葉には責任感が漂う。
体調不良で秋巡業を途中離脱。福岡入り後も慎重な調整を続けながら、「稽古が不足しているところはある」と認める。下半身の粘りはまだ万全ではないそうで、「限られた時間で仕上げていくだけ」と己を鼓舞。不安に打ち勝とうとしている。
やきもきする中、まわし姿の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の胸を借りた。ぶつかり稽古で何度も転がされ、砂まみれで「なまった体を戻す上でありがたかった。いいものをつかめた」。迷っても導いてくれる師匠の存在の大きさに感謝した。
大関昇進の伝達式では「もう一回、伝達式をできるチャンスがある。もう一回やりたい」と明快に言った。早くも最高位への期待が高まる。「そう簡単に手に入るものではない」と浮かれたそぶりは見せない一方で、勢いそのままに番付を駆け上がり、高みを渇望する姿勢は変わらない。
これまで以上の注目を浴びる中、見据えているのは白鵬(現宮城野親方)以来となる新大関での賜杯獲得。「初日からしっかり流れをつかみたい。いい形で一年を締めくくれたらいい」。重圧すらも力に変えるたくましさこそ真骨頂。24歳の「最速大関」は、歩みを止めるつもりはない。
[時事通信社]
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