トランプ氏、減税で負担軽減=ハリス氏は中間層強化―経済政策・米大統領選
【ワシントン時事】米大統領選では、インフレで打撃を受けた国民生活への支援が争点の一つとなった。民主党候補のハリス副大統領は、住宅購入補助や子育て世帯への税制優遇など、財政支出や税制優遇を通じた「中間層の強化」を主張。共和党候補のトランプ前大統領は、減税を強調し、前政権時代に導入した大型減税の恒久化による負担軽減を訴えた。
米経済は堅調さを維持し、物価上昇も沈静化しつつある。ただ、物価水準は高止まりしたままで、景気拡大の実感は乏しい。米メディアの世論調査では、有権者の約3割が経済政策を重視すると回答した。
ハリス氏は住宅価格上昇を受け、住宅を初めて購入する人への2万5000ドル(約380万円)の頭金支援を表明。子育て世帯への児童税額控除、食品価格のつり上げ阻止などで「生活費を引き下げる」と訴え、最低賃金の引き上げにも踏み込んだ。トランプ氏は、所得税減税の恒久化に加え、残業手当や社会保障給付の非課税化を打ち出した。
企業向け政策では、ハリス氏は小規模ビジネスや新産業創出に重点を置く。起業家への税制優遇や、新興企業などの事業拡大支援、人工知能(AI)や半導体といった先端技術の開発強化に取り組む。一方、法人税率引き上げや金融所得課税など大企業や金融界には厳しい政策を並べた。
トランプ氏は、法人税率引き下げや規制緩和を提唱。化石燃料の生産拡大によってエネルギーコストを削減し、大企業も含めた企業活動の活性化を図る。
また「米国第一」を掲げ、輸入品に一律10~20%の追加関税を課し、国内の製造業を保護する意向。対中政策では、60%の追加関税や、優遇関税を適用する「最恵国待遇」撤回を主張している。ハリス氏は、幅広い関税引き上げは輸入品の価格上昇を通じ、「インフレを引き起こす」と批判している。
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