損保カルテル、4社に排除命令=課徴金計20億円も―公取委
企業や自治体向けの保険契約で損害保険大手4社が価格調整していた問題で、公正取引委員会は31日、9企業・団体との契約でカルテルを結んでいたとして、独禁法違反(不当な取引制限)で、損保4社に再発防止などを求める排除措置命令を出した。計20億7164万円の課徴金納付も命じた。
損保4社は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険(いずれも東京都)。他に損害保険代理店「共立」(同)にも、1団体との契約について損保会社間の情報交換に協力したとして排除措置を命じた。
公取委の大胡勝審査局長が31日午前、各社の代表者に命令内容を申し渡した。さらに、金融庁と一般社団法人日本損害保険協会に、独禁法順守を周知徹底するよう要請した。
公取委によると、違反対象となったのは発電会社JERA▽コスモ石油▽独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)▽シャープ▽京成電鉄▽警視庁▽東京都▽仙台国際空港▽東急―との契約。このうち警視庁と東京都以外は、1社では引き受け困難な支払いリスクを複数の社で分担する「共同保険」契約だった。
各社は各対象の保険契約を巡る見積もり合わせや入札で、保険料の維持や引き上げを図るために事前調整するなどしていた。営業担当者や課長レベルが電話などで連絡を取っていた。仙台空港と東急の事案では、都内のカラオケ店で話し合いが行われていた。
課徴金額は、三井住友海上が8億8514万円(5件)、損保ジャパンが6億4798万円(6件)、あいおいが5億640万円(3件)、東京海上が3212万円(1件)となっている。いずれも課徴金減免制度の適用により減免されている。
大胡局長は記者会見で、「このような違反行為が再度行われるのであれば、さらなる厳しい対応もあり得る」と強調した。損保各社は「再発防止に取り組み、信頼回復に努めていく」(三井住友海上)などとしている。
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