ミサイル・防空施設に重点攻撃=イスラエル、イラン軍事力低下を優先
【イスタンブール時事】イスラエルが26日にイランへ行った攻撃で、衛星画像を基にした欧米メディアなどの報道で被害が徐々に判明してきた。弾道ミサイルの製造拠点やエネルギー関連施設の防空システムなどが重点目標だったもようだ。イランの軍事力低下を優先し、さらなる攻撃も排除しない警告を込める思惑もあったとみられる。
イスラエルのガラント国防相はオースティン米国防長官との電話会談で、攻撃を「成功」と評価した。一方、イラン軍参謀本部は「レーダーシステムが損害を受けたが、限定的な被害にとどまった」と主張し、被害の全容を明かしていない。
ロイター通信によれば、イランの首都テヘラン近郊パルチンやホジルでは、ミサイルの固定燃料を混合する施設が攻撃された。パルチンではかつて核開発計画で使われた実験施設も被害を受けた。
米紙ニューヨーク・タイムズは、西部イラム州や南西部フゼスタン州で製油所や石油化学関連施設、ガス田などを守る防空システムやレーダーが空爆され、使用不能になったと報道。ロシア製の対空ミサイルシステム「S300」4基も損害を受けたという。
イスラエルは米国の強い要請で、核開発や石油関連施設への直接攻撃は見送った。ただ、米CNNテレビによれば、攻撃に参加した約100機の軍用機の一部がイラン領空に侵入して空爆を実施した。ニューヨーク・タイムズ紙は「核施設を含めたイランのインフラに対して、より効果的な攻撃を行う前触れの可能性がある」と分析する専門家の話を伝えた。
米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)によると、イランは中東最大のミサイル保有国。イスラエルを敵視する親イラン勢力にも大量に供給し、イスラエルや中東に展開する米軍の大きな脅威となっている。
[時事通信社]
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