規正法、再改正なるか=政活費、企業献金が焦点―「みそぎは済むのか」(2)【24衆院選】
自民党派閥の裏金事件を受けた衆院選(27日投開票)は、今後の政治改革の行方を左右する。先の通常国会で成立した改正政治資金規正法を野党は「天下のざる法」(立憲民主党の野田佳彦代表)などと批判し、実効性を高めるための再改正を迫るが、自民は慎重姿勢を崩さない。
◇自民孤立
政党が議員に支出し、使途公開の義務がない「政策活動費」(政活費)の扱いが焦点の一つだ。自民は公約に「将来的な廃止も念頭」と記し、森山裕幹事長も「廃止の方向は間違いない」と話すが、その時期は明示していない。「使い勝手のいい財布」として温存するとの見方は根強い。
党幹部に一度渡れば、そこから先は誰に配り、何の目的で使うかは事実上自由。2019年の参院選を巡る大規模買収事件で河井克行元法相(実刑確定)が地元で配った現金の原資になったとの疑惑は消えていない。
改正規正法の付則は、政活費に関し「10年後の領収書公開」や使途を監査する第三者機関の設置を盛り込んだが、具体的な内容は今後の検討事項として先送りされた。衆院選では立民、日本維新の会など主要野党と公明党が「政活費廃止」で足並みをそろえた。
政活費を選挙目的に使うかどうかを巡り、石破茂首相(自民総裁)の発言は揺れた。9日の国会での党首討論では「使う可能性は否定しない」と述べたが、13日の民放番組で「選挙に使うことはない」と明言。ただ、実際に使われなかったかを検証するのは困難だ。立民幹部は「裏金事件で自民非公認となった候補者に回す可能性がある」とけん制する。
国民民主党の玉木雄一郎代表は政治資金が非課税扱いとなることに触れ、「せめて使途は公開するべきだ」と求めた。
◇首相、禁止論に疑問
もう一つの論点は企業・団体献金の是非だ。立民、維新、共産3党は政治資金パーティー券の購入を含めた「全面禁止」を掲げた。
共産の小池晃書記局長は「見返りがあるから企業は献金する。見返りがないならば株主から訴えられる」と指摘。献金の「賄賂性」によって政治がゆがめられていると問題視する。
首相は13日のNHK番組で「企業・団体は駄目で個人(献金)ならいいのか。私はよく分からない」と述べ、禁止論に疑問を投げ掛けた。背景には自民が財界から多額の献金を受け取っていることがある。22年の政治資金収支報告書によると、自民は企業献金の窓口となる政治資金団体「国民政治協会」から約24億円超の寄付を得た。自民中堅は「献金禁止は自民への狙い撃ちだ」と反発する。
◇野党も問われる
政治改革への本気度が問われるのは野党側も同じだ。民間の産業別労働組合(産別)の支援を受ける国民民主は企業・団体献金の禁止に後ろ向きだ。
立民は通常国会で政治資金パーティーを全面禁止する法案を提出したが、一部の党幹部がパーティーを計画していたことが判明し、党内外から批判が殺到。党幹部は当面の間のパーティー自粛に追い込まれた。
国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や未使用分の国庫返納も積み残された課題だ。各党が公約に掲げており、国会での速やかな法改正が求められている。
[時事通信社]
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