成熟度増し、再び王者=矢吹、けが乗り越える―ボクシング世界戦
約2年半ぶりに手にしたベルトをうれしそうに掲げた。矢吹は快勝で王者返り咲きを果たし、「全てを懸けていた。負けたら引退だったので、ほっとしている」。傷一つない顔をほころばせた。
近距離での打撃戦を警戒していたが、徹底的に左ジャブを打つことで、得意のアウトボクシングに持ち込んだ。右ストレートも交えて優位に進めると、8回終盤に最初のダウン。9回に2度目のダウンを奪い、再び立ち上がった王者を最後は強烈な右で沈めた。「全て想定内。自信はあった」
昨春、左アキレスけんを断裂した。30歳で負った大けが。引退を考えたが、世界王者を目指して一緒に歩んできた弟の力石政法(大橋)に「もう一回やれば」と励まされた。嫌いだった手術を受けて「復帰した以上は王者になる」と決意し、追い込んできた。
けがで時間ができたことで、苦手だった接近戦の戦い方を磨くことができた。ストレッチを入念に行うなど体との向き合い方も変わり、2年半で成熟度を増した。次はフライ級に階級を上げることを示唆。これからは王者として歩み続けるつもりだ。
[時事通信社]
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