国連軍に発砲、非難殺到=イスラエルは正当化
【ニューヨーク時事】イスラエル軍が10日、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に発砲したことに国際社会から非難が殺到している。イスラエル軍は「発砲前に安全な場所にとどまるよう指示した」と釈明し、イスラム教シーア派組織ヒズボラが近くで活動していたと攻撃を正当化した。
イスラエル軍の戦車は10日、レバノン南部ナクラにあるUNIFIL本部の監視塔を砲撃。インドネシア国籍の隊員2人が病院に搬送された。UNIFILは声明で、命に別条はないとしながらも「平和維持部隊へのいかなる意図的な攻撃も国際人道法違反だ」と抗議した。
UNIFILは11日の声明で、ナクラの監視塔近くで同日も爆発があり、2人が負傷したと発表した。イスラエル軍はこれに関し、標的に向け攻撃したが、約50メートル離れたUNIFILの拠点に着弾したと説明した。
10日に開かれたレバノン情勢を協議する国連安全保障理事会の緊急会合には、関係国としてインドネシアも参加。「容認できない」と糾弾した。中国やフランスなども厳しく批判し、米国は「深い懸念」を表明した。
このほか、インドネシアに次ぐ主要な隊員派遣国イタリアのクロセット国防相は10日、記者会見し「戦争犯罪に該当する可能性がある」と主張。イスラエルのガラント国防相に抗議したことを明らかにした。中国外務省の毛寧副報道局長は11日の記者会見で、イスラエルに「深刻な懸念と強い非難」を示すと強調した。
UNIFILは、1978年の国連安保理決議に基づき設立された平和維持活動(PKO)。50カ国の計約1万人がレバノン南部で停戦監視などの任務に当たっている。レバノンで戦線を拡大するイスラエルは退避を求めているが、UNIFILは応じていない。
[時事通信社]
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