電事連、「核ごみ」搬入打診=海外からの低レベル返還巡り―青森知事は拒否
電気事業連合会(電事連)の佐々木敏春副会長は10日、原発の使用済み核燃料の再処理に伴い発生した放射性廃棄物のうち、委託先の海外から返還される大量の低レベル廃棄物について、少量の高レベル廃棄物(核のごみ)に交換した上で、日本原燃の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」(青森県六ケ所村)に搬入したいと県と村に打診した。
宮下宗一郎知事は、佐々木氏と県庁で会談し「理解も協力もできない」と拒否。戸田衛村長は役場で「話は聞き置くだけで、今は検討の時期にない」と伝えた。電事連側は今後も説明を続けるとしているが、地元の理解が得られなければ、搬入は難しい情勢だ。
戸田村長は会談後、取材に応じ、8月末に27回目の完成延期が発表された日本原燃の再処理工場(同村)に触れ、「この問題でも一番大事なのは再処理工場の稼働だ」と強調。電事連の案を検討するのは、再処理工場の完成後になるとの認識を示した。同工場は2026年度中の完成予定。
電事連によると、従来はフランスでの再処理で発生した低レベル廃棄物入りのステンレス製容器約1800本が返還される予定だったが、外部への放射線の影響が同等の高レベル廃棄物約20本に交換する。約20本の輸送は1回で済むという。
電事連はフランスの原子力事業者と、低レベル廃棄物の日本への返還を33年中に終えると約束している。ただ、操業済みの貯蔵管理センターは原子力規制委員会の安全審査が続き、新たな受け入れを停止中。海外から返還される低レベル廃棄物の貯蔵建屋も建設に至っていない。
青森県は10年、三村申吾知事(当時)がフランスからの低レベル廃棄物と、英国にある低レベル廃棄物を高レベル廃棄物に交換し、受け入れることを了解している。国際ルール上、使用済み燃料を持ち込んだ国は、再処理で出た放射性廃棄物を引き取る必要がある。
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