政党の劣化を食い止める=衆院解散
衆院が解散された。小選挙区比例代表並立制が導入されて10回目の総選挙となる。この間、2度の政権交代はあったものの、二大政党に収れんし、緊張感のある政策論争が交わされるとの当初の期待は随分前にしぼんでしまった。
平成の選挙制度改革が奏功しなかったのは、とくに第2次安倍政権以降、政権選択選挙とされる衆院選で、自公政権に代わる受け皿が用意されなかったことが大きい。多党化する野党に有権者は政権を託せなかった。憲法9条や安全保障に象徴されるイデオロギー対立が野党の結集を妨げていた面も無視できまい。
衆院議員は「1票差でも勝ちは勝ち」の小選挙区で生き残ることが至上命令となり、自民党総裁選は「選挙の顔」を選ぶ人気投票と化した。世襲議員が幅を利かせ、政界への新規参入を阻んでいるとも指摘される。
自民は2012年以降の安倍・岸田両政権で、衆参国政選挙8連勝中だ。石破茂首相は、就任8日目の解散という戦後最短記録を更新して9連勝をもくろむ。
政権与党が選挙制度を自ら変える動機は乏しいが、平成の改革の例がある。くしくも派閥裏金問題に関与した議員に比例代表との重複立候補を認めない首相方針により、かねて問題視されてきた「比例復活当選」に焦点が当たった。そろそろ比例復活を含め現行制度を抜本的に見直してもいい時期だ。
野党の責任も大きい。大同団結が難しいなら、各選挙区で一本化への努力をするべきなのに、足の引っ張り合いが目立ち、各党とも国会での見せ場づくりに腐心しているのが実情だ。立憲民主党は政権交代を唱えるのなら、政権の枠組みとそれに見合う政策パッケージを示すべきだが、野党第1党の座が心地良いのか気迫に欠ける。
解散から27日の投開票まで18日間の短期決戦。政治の信頼回復はもとより、選挙戦を政党の劣化を食い止めるきっかけとしたい。
[時事通信社]
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