袴田さん、無罪確定へ=検察控訴断念、異例の談話も―逮捕から58年・静岡地裁再審
1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審で、検察当局は8日、静岡地裁の無罪判決に対して控訴を断念すると表明した。逮捕から58年、死刑確定から44年近くを経て袴田さんの無罪が確定する。
静岡地検は9日に上訴権放棄の手続きを取る方針を明らかにした。戦後に起きた事件で死刑確定後に再審無罪となるのは5例目。
畝本直美検事総長は8日、談話を発表し、「袴田さんは相当な長期間にわたって法的地位が不安定な状況に置かれてしまい、検察として申し訳なく思っている」などと謝罪。再審請求審が長期間に及んだことなどについて、最高検として検証を行う方針を明らかにした。控訴断念で総長が談話を出すのは異例。
再審では、事件の約1年2カ月後に現場近くのみそタンクで発見された血の付いた「5点の衣類」が犯行着衣かどうかが最大の争点だった。先月26日の判決は、赤みが残る血痕について「1年以上みそ漬けにされたら赤みは残らない」と判断。「捜査機関が血痕を付けるなどしてタンク内に隠した」と証拠の捏造(ねつぞう)を認め、袴田さんが犯人とは認められないと結論付けた。
これに対し畝本総長は談話で、血痕の赤みについて「専門性のない科学者の一見解に依拠し、赤みを失うと断定したことには大きな疑念を抱かざるを得ない」と反論。証拠捏造に関しても「具体的な証拠や根拠が示されておらず、強い不満を抱かざるを得ない」とした上で、「判決には到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容だ」と指摘した。
一方で、「再審請求審の判断がまちまちになったことなどによって袴田さんの法的地位が長期間不安定だったことに思いを致し、控訴することは相当ではないとの判断に至った」とした。
[時事通信社]
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