角川元会長が無罪主張=「全く身に覚えない」―五輪汚職初公判・東京地裁
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(80)=受託収賄罪で公判中=に賄賂を渡したとして、贈賄罪に問われたKADOKAWA元会長の角川歴彦被告(81)の初公判が8日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。角川被告は「全く身に覚えのないことであり、私は無実です」と述べ、起訴内容を否認した。
検察側は冒頭陳述で、同社の五輪関連業務は会長だった角川被告の意向で進められたと指摘。被告は、スポンサーに選ばれる見返りに高橋被告側へ金銭を払うことの法的リスクについて元専務(66)=有罪確定=から説明を受けた上で、コンサルタント料名目とする方針を了承したと述べた。
弁護側は、角川被告に決裁権限はなく、社内で贈賄のリスクが指摘されてからも報告を受ける状況にはなかったとして関与を否定。「地検が誤った見立てで捜査し、角川さんを逮捕・起訴した。冤罪(えんざい)事件であり、無実だ」と訴えた。
起訴状によると、角川被告は元専務らと共謀し、高橋被告にスポンサー選定や協賛金額の決定で便宜を依頼。2019年9月~21年1月、同被告側に計約6900万円を提供したとされる。
事件では計15人が起訴された。これまでに贈賄側5社の元幹部と収賄側の会社元代表ら計12人に執行猶予付き有罪判決が出され、うち11人は確定した。
角川被告は22年9月、贈賄容疑で東京地検特捜部に逮捕され、翌月起訴された。一貫して無罪を訴え、勾留は23年4月に保釈されるまで7カ月余り続いた。今年6月、無罪を主張するほど身体拘束が長引く「人質司法」で精神的苦痛を受けたとして、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。
[時事通信社]
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