ミャンマー精通の日本大使離任=後任は臨時代理、影響力減の懸念
【バンコク時事】約6年半にわたり駐ミャンマー大使を務めた丸山市郎氏(71)が、9月末に離任した。クーデター後の軍事政権を承認していない日本政府は後任の大使を任命せず、臨時代理大使が大使館トップを務める。現地関係者からは日本の影響力低下を懸念する声が出ている。
丸山氏は1978年、幹部候補ではない「ノンキャリア」の専門職員として外務省に入省。同省きっての「ミャンマー専門家」で、2011年からミャンマー大使館参事官を務め、18年3月に大使に昇格した。21年のクーデター後は、拘束された邦人の解放や現地の日系企業の支援などで軍政と渡り合った。
新大使は外交儀礼上、任地国の元首に信任状を提出する。だが、ミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官に提出すれば、軍政を承認したと見なされる。このため日本政府は、公使の吉武将吾氏を信任状の必要がない臨時代理大使とした。
外交筋は「大使館のトップが臨時代理大使でも、邦人保護や日系企業支援の態勢に変わりはない」と強調するが、軍政側が「外交関係の格下げ」と受け止める可能性がある。現地の日系企業関係者は「ミャンマーで長年活動し、幅広い人脈を持つ丸山氏が離任することで、外交交渉における日本の影響力が低下しないか心配だ」と話した。
[時事通信社]
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