終盤戦の「オクトーバー・サプライズ」=米大統領選の結果左右も
過去の米大統領選では直前の10月に結果を左右する突発的な出来事が発生し、「オクトーバー・サプライズ」と呼ばれてきた。11月5日投開票の今回の選挙でも勝敗に影響を与える事態が起きるか注目が集まる。
米メディアによると、この言葉はもともとデパートの秋季セールの宣伝文句だった。現職カーター大統領にカリフォルニア州知事だったレーガン氏が挑んだ1980年の大統領選を契機に政治用語として使われ始めた。
米国民の関心を集めていた在イラン米大使館人質事件をカーター氏が選挙直前に解決し支持を集めることを、レーガン氏陣営が「オクトーバー・サプライズ」と表現して警戒。ただ、実際には選挙前に実現せず、カーター氏は敗北した。
近年では、2012年10月下旬に東部を襲ったハリケーン「サンディ」への迅速な対応ぶりが現職オバマ大統領の再選を後押ししたとされる。16年10月末には民主党候補だったクリントン元国務長官の私用メール問題で連邦捜査局(FBI)による捜査が突然再開。それまで優勢だったクリントン氏は「私に投票しようとしていた人々に疑念を持たせた」と敗因に挙げた。
前回の選挙戦では、10月初旬に当時のトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染し入院。コロナ対策で批判を浴びてきたトランプ氏にとって終盤戦で痛手となった可能性がある。
上智大の前嶋和弘教授(米政治)は今年の大統領選について、「歴史上かつてない分断・分極化が進む中、かつ上下両院ともに(議席数が)僅差だ」と強調。「84年以来独り勝ちの大統領選はなく、差が付かない中で、サプライズ的なものが重要になっている」と分析した。
大統領選が近づくにつれて、「何が今年のサプライズになるか」と予想するメディアもある。ブルームバーグ通信は「金正恩(朝鮮労働党総書記)がオクトーバー・サプライズを起こす」と題したコラムを配信。北朝鮮の核実験を挙げた。
共和党候補トランプ氏の2度の暗殺未遂、民主党候補だったバイデン大統領の撤退とハリス副大統領への交代など、既にサプライズ続きの今回の選挙戦。最後まで気の抜けない戦いが続きそうだ。
[時事通信社]
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