劇団改革道半ば、労基署は勧告=団員死亡から1年―宝塚歌劇
宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)で昨年、宙組団員(当時25)の急死が判明してから、30日で1年。歌劇団は、問題になった長時間労働や厳しい上下関係などの組織風土の見直しに取り組むが、そのさなかの今月5日、国の出先機関である西宮労働基準監督署から是正勧告を受けた。今年で創立110周年を迎えた歌劇団が、伝統を受け継ぎながら「新しい時代にふさわしい形」を模索する改革は、まだ道半ばだ。
歌劇団や運営元の阪急電鉄などは当初、稽古や公演準備に追われる団員らの過重な労働実態は認めたが、「いじめやハラスメントは確認できなかった」との立場を取った。
しかし、今年3月に一転、遺族側の主張を受け入れる形で、上級生(先輩劇団員)らによるパワーハラスメント行為を認めて謝罪。年間興行数の削減や指導方法の見直し、外部通報窓口の設置など再発防止のための改革策を公表した。その上で、中止していた宙組公演は約9カ月ぶりに6月下旬から再開。公演体制は平常に戻った。
村上浩爾理事長は7月末の記者団との懇談で、組織風土の見直しなどについて下級生から多くの意見が出ているとし、「意見が出ることが一つの進歩。今まで我慢していたと思うと、責任を痛感している」と話した。
ただ、それらを踏まえた改革の進展状況などは明らかにせず、労基署から出された是正勧告の具体的な内容や、それを受けてどんな対応策を取るかなども説明していない。
この問題が起きて以降、恒例だったトップスターの公演開始前の取材会は開催を見合わせ、団員が公の場で一連の出来事について直接言及することも避けている。
歌劇団は団員急死から1年を前に「現在進めている改革に継続して取り組んでいく」との談話を発表したが、どこまで本気なのか。遺族に謝罪した際に誓ったという、今の時代に合った改革の成果を、目に見える形で示すことが求められる。
[時事通信社]
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