マーシャル諸島、国連に米核実験の謝罪要求 ビキニ環礁などで67回
【国連本部(米国)AFP=時事】太平洋の島国マーシャル諸島のヒルダ・ハイネ大統領は国連に対し、第2次世界大戦後に同国で行われた米国の核実験に間接的に関与したとして謝罪を求めた。≪写真は、マーシャル諸島・ビキニ環礁で米軍が実施した核実験で生じたキノコ雲≫
米国は1946~58年、人口約4万2000人のマーシャル諸島で67回の核実験を実施。人体の健康への影響は今も続いている。マーシャル諸島は1947年から米国を施政国とする国連の信託統治領となっていた。
ハイネ氏は25日の国連総会での演説で、この時期は「国連が核実験を明示的に承認した唯一の時期」だと非難。
「過去を取り消すことはできない。だが、国連として、マーシャル諸島国民の嘆願に耳を傾けなかったことに対し、正式に謝罪する決議案の採択を通じて償う責任がある」と訴えた。
ハイネ氏によれば、マーシャル諸島の国民は、同国を米国の統治下に置いた国連の信託統治決議案に反対する嘆願を行っていた。
米国務省は、1947年に米国はマーシャル諸島を含む太平洋諸島の「施政国」となったと説明。核実験の「影響を受けたコミュニティー」に対し、米政府は現在のレートで10億ドル(約1440億円)以上を提供してきたとしている。
■「深い傷」
ハイネ氏は核実験について、「死、病、汚染という現在進行形の遺産を残した。その影響は世代を超えて続いている」と述べた。
米軍が1954年にビキニ環礁で実施した核実験「ブラボー実験」では、大勢のマーシャル諸島国民が放射性降下物を浴び、多くの人がその後、健康問題に悩まされた。
ハイネ氏は26日、核実験の被ばく線量は「広島型原爆の1.6発分が12年間、毎日続くのに相当する」との見解を示した。
核実験で生じた汚染物質は、エニウェトク環礁のクレーターに廃棄され、コンクリートで覆われた。だが、その後ひび割れが生じ、漏出が懸念されている。
ビキニ環礁、エニウェトク環礁、ロンゲラップ環礁、ウトリック環礁の住民たちは、放射性物質汚染のために移住を余儀なくされ、多くはいまだ帰郷できていない。
ハイネ氏は「核実験の影響は、深い傷跡を残した。島民たちはいまだ故郷に帰れず、裁判で確定した数十億ドルも支払われず、社会的・環境的負担は最年少世代と将来の世代にものしかかっている」「われわれがこの核の運命を選んだのではない。あてがわれたのだ」と語った。
米国立がん研究所が2004年に公表した推計によれば、マーシャル諸島での一連の核実験で、約530例のがんが生じたとされる。【翻訳編集AFPBBNews】
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