「脚」の先に味覚受容体=ホウボウ類の魚で確認―砂に潜む貝など感知・米大学
胸びれの付け根から生えた「脚」で、海底を歩くように移動する魚「ホウボウ」類の一種には、脚の先端の細胞に舌と同じ味覚受容体たんぱく質があり、砂に潜む貝や甲殻類などの味を感じて捕らえていることが分かった。米ハーバード大などの国際研究チームが細胞の詳細な解析や実験で確認し、26日付の米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。
このたんぱく質は「味覚受容体タイプ1(T1r)」のうち、「T1r3」と「T1r2」。ヒトの舌ではこの組み合わせで甘味を、「T1r1」と「T1r3」の組み合わせでうま味を感じることが知られる。
解析の対象は、米東海岸の海底に生息するホウボウ科ニシホウボウ属の一種(学名カロリヌス)。脚のように見えるのは「遊離軟条」と呼ばれ、カロリヌスの場合は胸の左右に3本ずつ生えている。先端には舌のように無数の微小な突起がある。
ホウボウ類が「脚」で砂に潜った貝などを探し当てる能力があることは広く知られるが、詳しいメカニズムが明らかになっていなかった。
研究チームは、砂に入れた「脚」の先に貝などが接触していることは神経で感じるが、味のもととなるアミノ酸などは神経だけでは捉えられないことを解明。貝や甲殻類が放出するアミノ酸などを、微小な突起の細胞にある味覚受容体で感知していることを突き止めた。
ニシホウボウ属では、「脚」に微小な突起と味覚受容体が存在する種と存在しない種があることも判明。存在する種は2種しか見つからなかったことから、比較的新しい時代に進化したとみられるという。
[時事通信社]
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