5点の衣類は「捏造」=証拠から排除、自白調書も―検察主張を否定・袴田さん再審判決
袴田巌さんに無罪を言い渡した静岡地裁の再審判決は、犯行着衣とされた「5点の衣類」について「捜査機関が隠匿した捏造(ねつぞう)証拠だ」と言い切った。有罪を支えた袴田さんの自白調書も「実質的に捏造された」と指摘し、いずれも証拠から排除した。
衣類は事件から約1年2カ月後にみそ工場のタンク内で発見された。確定判決は、付着した血痕が被害者らと同じ血液型だったことなどから袴田さんが犯行時に着用し、逮捕前にタンク内に隠したと判断した。
再審公判では血痕に赤みが残るか否かが最大の争点だった。静岡地裁は判決で、弁護側の実験結果を基に「1年以上みそ漬けされた血痕に赤みは残らない」と認定。検察側は、血痕の乾燥などが黒褐色化を阻害し得ると主張したが、「乾燥の程度は必ずしも黒褐色化を妨げる要因にはならない」と退けた。
判決は次に捜査機関による捏造について検討した。袴田さんは当初、犯行を「自白」したものの、公判で否認に転じており、「衣類が発見される前の証拠関係を見ると、無罪となる可能性は否定できない状況だった」と指摘。「有罪を決定付けるために捏造に及ぶことは現実的に想定でき、不可能だったとは言えない」とした。
衣類のうち、袴田さんの実家から押収されたズボンの端切れも捏造され、事件と関連性のない証拠だと判断。「『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の原則に従えば、袴田さんを犯人と認めることはできない」と結論付けた。
[時事通信社]
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