原告側「一日も早い救済を」=水俣病近畿訴訟の控訴審始まる―大阪高裁
水俣病特別措置法の救済対象とならなかったのは不当だとして、熊本、鹿児島両県出身の126人が国と熊本県、原因企業のチッソを訴えた集団訴訟の控訴審第1回口頭弁論が25日、大阪高裁(東亜由美裁判長)であった。
国などは、原告全員を水俣病と認定した一審大阪地裁判決について、「判断に誤りがある」と述べ、改めて争う姿勢を示し、原告側が「一日も早い救済」を求め意見陳述した。
原告の126人は熊本、鹿児島両県に居住した後、近畿地方など13府県に移り住んだ。意見陳述では、原告の一人で鹿児島県で生まれ、今も手足のしびれや感覚障害に苦しむ大阪府在住の70代女性が「普通の人にできることが私にはできない。一日も早い救済の道を開いていただきたい」と訴えた。
昨年9月の大阪地裁判決は、特措法の対象地域外の居住者を含む原告全員の症状とメチル水銀への暴露の因果関係を認め、1人当たり275万円の賠償を命令。6人を除いてはチッソだけでなく国と熊本県の責任を認めた。これを不服として、国、県、チッソが控訴した。
水俣病の認定訴訟は新潟、東京、熊本各地裁でも争われており、熊本地裁判決は今年3月、原告144人中25人を水俣病と認めたが、賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過したとして全員の請求を棄却。4月の新潟地裁判決は47人中26人を認定し、総額1億400万円の支払いを命じた。
[時事通信社]
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