原告団「信じられない」=被爆体験者訴訟、首相控訴表明に失望―長崎
長崎の「被爆体験者」を巡る訴訟で、原告の一部を被爆者と認めた長崎地裁判決に対し、岸田文雄首相が控訴する方針を表明したことを受け、原告団が21日午後、長崎市内で記者会見を開いた。出席者からは「信じられない」「被爆者と認めればいいだけ」などと失望や怒りの声が上がった。
原告団長の岩永千代子さん(88)は8月9日の平和祈念式典後に、参列した首相と長崎市内で面会した。「岸田さんは合理的な解決について話し、本当に朗報だと思った。私たちの苦しみが分かっていると思った」と振り返った岩永さんは、控訴表明について「覆された。信じられない」と批判した。
原告らは提訴当初から被爆者認定を求めてきた。山内武さん(81)は、首相が打ち出した医療費の助成について、「『被爆者と同等』にすると言うのなら、被爆者と認めればいい。たったそれだけだ」と切り捨てた。
会見で原告らは、国の控訴方針に抗議する声明を公表。被告の長崎県と長崎市に対し、「国の圧力に屈することなく、控訴を断念する」ことを求めた。
支援者で被爆2世の平野伸人さん(77)は、「控訴すると(高裁のある)福岡で2年も3年もかかる。高齢化した(原告の)人が裁判を闘うのは非常に厳しい状況だ。政治解決をしなければいけない」と訴えた。
[時事通信社]
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