沈没メカニズム「粘り強く捜査」=海保、詳しい説明避ける―知床観光船
知床観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故から2年5カ月。運航会社社長桂田精一容疑者(61)を逮捕した第1管区海上保安本部の幹部らが18日、北海道小樽市内で記者会見し、「粘り強く捜査し、沈没原因を認定した」と説明した。ただ、業務上過失致死など容疑の詳しい内容や、なぜ逮捕に踏み切ったかについては「回答を差し控える」と繰り返し、明言を避けた。
第1管区の蠣崎孝司刑事課長は「沈没に至るメカニズムを解明するため、さまざまな鑑定や気象データの分析を続け、容疑が固まったことから逮捕に至った」と説明。一方、何を過失と認定したかについては「出航中止、航行継続中止の義務があったのに怠った」とだけ語った。
海保は事故直後の2022年5月、業過致死容疑で知床遊覧船の事務所などの捜索に着手。船体を網走港に陸揚げし、詳しい事故原因を調べてきた。小型模型を使って再現実験を行うなどし、沈没原因をハッチからの浸水に絞り込んだ。
運輸安全委員会によると、桂田容疑者は21年に安全統括管理者兼運航管理者に就任したにもかかわらず、「運航は船長の判断に任せておけばよいと思っていた」と供述。運航に関して船長に指示する知識などはなく、事故当日も会社事務所に不在だったという。
死亡したカズワン船長=当時(54)=も運航経験が浅く、事故当日は波浪・強風注意報が出ていたのに出航した。海保はこれまでに桂田容疑者を任意で事情聴取しており、天候などをチェックして船の運航を管理する責任者だったにもかかわらず、義務を怠ったと判断したとみられる。
[時事通信社]
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