安倍氏・教団「面談」写真が火種=自民調査に疑義、早期解散影響も
自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係に対する疑念が17日、再燃した。朝日新聞が報じた安倍晋三元首相と教団幹部の「面談」写真は組織ぐるみのつながりを強くうかがわせ、自民の「点検」結果の不十分さを改めて浮き彫りにした。27日投開票の自民総裁選に新たな火種が降りかかり、早期衆院解散論にも一定の影響を及ぼしそうだ。
「旧統一教会と党の関係は再三説明した通りだ。今の段階で付け加えることはない」。17日、党と教団の組織的関係について首相官邸で記者団に問われた岸田文雄首相は、こう述べるにとどめた。
同日付の朝日新聞朝刊は2013年の参院選直前、党本部総裁応接室で首相だった安倍氏と旧統一教会の当時の会長が面談した時に撮影されたという写真を掲載した。安倍氏の実弟の岸信夫元防衛相、側近の萩生田光一前政調会長も写っている。
自民は22年9月、教団側との関係について、党所属国会議員の自己申告に基づく点検結果を公表。その際、茂木敏充幹事長は「党として関係はない」と組織性を否定した。
ただ、国政選挙を控えた時期に党本部でトップ同士が面談していれば、従来の説明は説得力を失う。組織的な選挙支援がテーマとなった可能性を否定できないからだ。
点検では、故人となっていた安倍氏が対象から外れた。盛山正仁文部科学相が選挙支援を受けていた疑惑もその後に浮上。実効性を疑問視される。
今回の総裁選は派閥裏金事件への対応が最大の焦点。旧統一教会問題は、出馬表明の記者会見で「岸田政権の方針を堅持する」(小林鷹之前経済安全保障担当相)、「関係を絶つ」(小泉進次郎元環境相)などと触れられた程度だ。
立憲民主党代表選の候補者からは早速、批判が相次いだ。泉健太代表は国会内で記者団に「深い闇が出てきた」と述べ、総裁選で再調査の是非を議論すべきだとの考えを強調。枝野幸男前代表もX(旧ツイッター)に、自民と教団の組織的関係について「総裁選候補に認識と見解を示してもらいたい」と記した。今後、再検証を求める声が高まりそうだ。
総裁選で新たな「顔」を選んだ直後に衆院解散に踏み切ることで裏金事件の逆風をしのぐ自民のシナリオにも、「面談」写真は影響を及ぼす可能性がある。立民の野田佳彦元首相は記者団に、新首相選出後に臨時国会で教団との関係を審議すべきだと主張。「臭いものにふたをして総選挙をやるなら国民がしっぺ返しをする」とけん制した。
「火種を二つ抱えた。世論の行方次第では早期解散などと言っていられなくなる」。政府関係者は声を潜めてこう語った。
[時事通信社]
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