政治改革・別姓・憲法で論戦=自民総裁選、9候補が演説会
自民党総裁選(27日投開票)に立候補した9人は12日、党本部で開かれた所見発表演説会に臨み、それぞれが重視する政策を訴えた。多くが派閥裏金事件を受けた政治改革を唱えたが、政策活動費の在り方など具体策では方向性に違いが見られた。選択的夫婦別姓制度や憲法改正でも論戦が交わされた。
小泉進次郎元環境相は「首相に就任すれば1年以内に政治改革、政治資金の透明化、党改革を進める」と表明した。既に発表した政策には政策活動費の廃止を掲げている。茂木敏充幹事長は「党の規律や運営体制をゼロベースで見直し、政策活動費も廃止する」と語った。
石破茂元幹事長は「廃止も選択肢」との立場。「政治不信に対し、党が国民に説明責任を果たしていく。信頼される党でありたい」と述べた。
公開による透明化を主張したのが高市早苗経済安全保障担当相らだ。高市氏は「特定の幹部が使途を決めるのではなく、公平に配分され、使途をチェックできる仕組みをつくる」と強調した。
林芳正官房長官は「皆さんが政治資金パーティーにそんなに頼らなくて良いような政党交付金の配分を実現する」と説いた。加藤勝信元官房長官は透明性を担保するため、第三者機関を国会に設けることを提案した。
政策活動費は政党が議員に支出する政治資金で、公開義務がなく領収書も不要。6月に成立した政治資金規正法改正の付則に領収書の10年後公開や、使途を監査する第三者機関の設置が検討事項として盛り込まれたが、具体的な方法は未定だ。総裁選での論戦は今後の与野党協議にも影響を与えそうだ。
選択的夫婦別姓制度の導入を巡っては、小泉氏が「皆さんの選択肢を広げる」と賛成し、加藤氏は「家族同姓制度は守っていくべきだ」と反対姿勢を明確にした。「伝統的な家族観」を重視する党内保守派は反対・慎重論が根強い。
林氏と上川陽子外相以外の7人は憲法改正に言及。河野氏は「自衛隊を憲法に明記するのは第一歩であることは間違いない」と指摘。小林鷹之前経済安保担当相は「緊急事態条項の創設、自衛隊の明記は最大限急ぐ必要がある」と語った。
各候補の発言は届け出順に一人10分以内で行われた。演説会には党所属国会議員や都道府県連代表者らが参加した。
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