瀬戸、速攻柔道で金=増量の苦労実る―柔道〔パラリンピック〕
柔道男子73キロ級(弱視)の瀬戸は金メダルを受け取り国歌を歌うと、やっと実感が湧いてきた。涙が止まらなかった。「これが欲しくてやってきた。言葉にならない」。努力が報われて頂点に立ち、感慨深げだった。
決勝は狙い通りの試合展開だった。開始6秒の背負い投げで技あり。続けて出足払いで技ありを奪い、一本勝ちした。今大会3試合の試合時間は合わせて3分ほど。「早いうちから攻めようと思っていた」
決して順調満帆な道のりではなかった。先天性の色覚障害を持ち、2017年に健常者の柔道からパラ柔道へ転向。3年前の東京大会で銅メダルを獲得した66キロ級はパリ大会では行われず、新しい73キロ級に合わせるための増量の苦労があった。慣れないウエートトレーニングにも挑戦し、「とにかくしんどかった」と振り返った。
100%のコンディションでなくとも、強くなったフィジカルでカバー。決勝も力負けせず、「今までやってきたことがうまく出せた」と練習の成果を感じた。
現在は大学院に通う学生。学業と両立させながら競技を続け、「パラはパリまで」と決意して今大会に臨んだ。大舞台での目標を達成し、「気持ちの整理をしてゆっくり考えたい」と将来に目を向けた。 (時事)
[時事通信社]
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